天空の階段 アザーン


「二人とも昨日は凄かったね。」と私。

「私は楽しかったわ。無茶苦茶したけど。ふふふ、智奈さんは良かった?」と璃紗。

 少し赤くなる智奈。

「ねえ、」智奈が真面目な顔で尋ねる。

「みんな、こうして楽しくやっていけないのかしら。」

「いけるんじゃない、私たち。」と璃紗。

「そうじゃなくて、世界のみんなって言う意味なんだけど。」

「それは無理だろうね。こうして楽しめるのは、性的な意識が解放されてるからで

はあるけれど、気持ちが自由なだけで自由にになれるのは豊かな人々だけだか

らね。かつて、アフリカの多くの人々は自由に性を楽しんでいたんだけど、今では

エイズ蔓延で無茶苦茶だからね。」

「エイズなんか、コンドームでなんとかなる筈なのに。」と璃紗。

「幾らだい、コンドーム1枚。」

「うーん、50円か100円ぐらい。安いわよ。」と璃紗。

「アフリカの平均月収は1000円以下、3日に1回セックスすれば餓死だな。」

 二人は黙る。

 それから数日後。

 突然船が止まり、複雑な汽笛が鳴る。何か合図しているようだ。急に部屋が暗く

なる。三人はテラスへ出る。そこには空を覆うように巨大な船が浮かんでいた。長

さは優にヘルメスの3倍はある。

「これで行くよ。ほら、チケット貰っただろ。出発場所はこの船だったね。」

「????」目を見合わせる二人。

 空中からヘルメスへ向けてタラップが伸びてくる。

 扉がノックされ、スチュワードがあらわれる。

「荷物は後ほど貨物クレーンで収容し、アザーンの客室までお運び致します。どう

ぞ、そのままタラップから御乗船下さい。」

 私たちはスチュワードの案内で長いタラップを登る。見下ろすと、船の甲板が次

第に小さくなっていく。ブリッジの後ろで船長が手を振っている。

「空を歩いているみたい。」璃紗は微笑みながら手を振るが、足はすくみひきつっ

てる。

「少し怖い?なら、またサドネタが増えそうだね。」

「ひどーい。」と璃紗。

「でも、ステキ。素晴らしい眺めね。」智奈の足取りは軽やかだ。

璃紗と智奈は下を見下してつぶやく。

「そうだね。」と言いながら私は上を見上げる。浮かぶ船体をバックに二人のスカー

トの中身が丸見えになって、璃紗の赤い割れ目と智奈の陰毛が覗いている。

三人の目が合う。

「意味が違うのね。」と二人。

「解った?」と私。

皆で笑う。

 ようやく入り口にたどり着く。船体には「アザーン」と記されている。全長780m、

現存する世界唯一の硬式飛行船だ。アザーンのスチュワードに導かれ船内に入る。

広いロビーでキャプテンの握手を受ける。

「ようこそ、アザーンへ。お話は伺っております。どうぞゆっくりおくつろぎ下さい。」

片側が大きなガラス窓の長い廊下をどこまでもどこまでも歩く。

「いったい何時まで歩くの?」と璃紗。

「半分でも400mあるからねえ。5分はかかるかなあ。」と私。

 窓の下には青い海が広がっている。ヘルメスはタラップを収容しゆっくりと離れて

いく。歩くくと7分。3人はようやく船室に案内される。

「お待たせ致しました。どうぞこちらです。」

「うわー、何、これ、部屋?」部屋に入った二人は声をあげる。

 ドアの向こうの、壁や床があるべき部分は全てガラス張り。普通の部屋と同なの

は天井だけ。そっと踏み出す足下には広大な海原が広がり、廻りには雲海が広が

っている。中央には淡いブルーのキングサイズのベッドが一つと柔らjかそうなソフ

ァー。ガラスの仕切の向こうには、やはり淡いブルーの浴槽が宙に浮かんだ雲の

ように据えられている。

「どう?気に入った?」

「空飛んでるみたい。」璃紗が答える。

「そりゃそうさ、空飛んでるんだもの。嬉しい?」

「もちろん、で、あなたはどれぐらい?って聞くのね。」

「そう、解ってるじゃない。」

 璃紗はチラリと智奈の方を見た後、おもむろに服を脱ぎ、裸の体をベッドに横たえ

足を開く。そこだけ、赤い粘膜がぱっくりと開いた割れ目を見せつけるようにして、

ゆっくりと指を這わる。静かな空の中で、璃紗の指先の擦れる音がクチュクチュと

響く。璃紗は、その指で自らの体に静かに火をともす。璃紗は何か求めるような顔

をして、私を見つめる。そして、智奈を見つめる。智奈は微笑む。

 私も裸になる。璃紗のオナニーを見せつけられ、私の陰茎は既に発火している。

私は璃紗のヴァギナに唇を寄せ、チュルチュルを音を立てて愛液をすすり上げる。

私の指は璃紗のクリトリスを撫で回す。

「あああんん、」璃紗は悶えて、裸身を捩る。

 私は璃紗の体をひっくり返し、頭をベッドの縁からせり出さる。突然、璃紗たの目

の前、遥か下に海が広がり、璃紗はゾックと震え、息を呑む。

「あひっ!」璃紗は短い叫びをあげる。

 わたしは後ろから太い陰茎をぬっぷりと差し込んで、突く。陰茎の先端は璃紗の

こりこりと硬い子宮の入り口まで達し、激しく上下する。手は胸に差し入れられ、

激しく揉みしだく。間近な足下を雲が通り過ぎ、一瞬視界が白く覆われる。

 眼下はクレタ島。イラクリオンの街が見える。

 アザーンは地中海を南へと進む。

激しく突く私。喘ぐ璃紗。もういちど雲の中に入る。白い綿が青い海と空を隠す。

雲の中で逝く二人。

 音もなく流れる雲。音もなく流れる時間。

 

「ねえ、この船、なんで飛んでるの?」智奈が尋ねる。

「エネルギー源は船体上面の全体に張られた太陽電池。これでモーターを動かし

推進してる。浮力は、この大きな船体に詰められた水素ガス。だいたい、1 立方

当たりで1kgちょっとの浮力になるかな。 」

(私は智奈の手をとって、指先にキスする。)

「じゃあ何時までも飛べるんだ。」

「まあ、そういうこと。石油なき未来の空の主役かな。」

(私はそっと智奈の胸を揉む。)

「ねえ、それなら、発電なんか、太陽電池でみんな賄えばいいじゃない。」と智奈。

璃紗は裸のまま立ち上がり壁に寄りかかる。

「すばらしい質問だよ。確かにそう。太陽電池はクリーンで、技術的にも成熟してる

しね。でも、この電池のシリコンが問題でねえ。電子部品用シリコンで、傷があった

りして規格に合わないのを使ってるんだけど、最初から作ろうとすると大変なコスト

になってしまうんだ。」

(私は智奈のブラウスのボタンを一つ外す。)

「じゃあ、太陽電池で全部まかなうっていう未来はないわけ?」

「残念だけど、そういうこと。今までは余りに情報産業が急成長してきたから、B級

のシリコンも増えていて、太陽電池のコストも下がってるけど、何時までもそうはい

かないね。量の面の限界ははっきりしてる。次世代のエネルギーは、水力、風力、

なんでも使っていくことになるだろうが、全然足らないだろうね。」

(私は智奈のブラウスのボタンをあと2つ外す。)

「じゃあ、ダムをもっと作って、水力増やせばいいじゃない。」

「これもねえ、だめなんだ。」

(私は智奈のブラウスのボタンを全部外してしまう。)

「え、どうして?」

「ダムって、水をせき止めるだろう、そして、溜まった水の位置エネルギーを使うん

だよね。じゃあ、せき止める前、位置エネルギーは何に使われてた思う?」

(私は智奈のブラウスをはだけ、直に胸を揉む。)

「そんなの、無駄に流れてて消えてただけじゃないの?」

「それが、少し違うんだ。上流の土や泥を下流に運ぶ仕事も随分してたんだ。」

(私は智奈の右の乳首を指でつまみ、ころがす。)

「そんなの大事なの?泥なんか、ダムが無かったら、洪水の時に流れてきて家や

畑を埋めるだけじゃない。」

「そう、ダムがなかったらね。今はダムがあるから、畑は泥で埋まらない。ずっと、

何時までも。ところで、畑の作物って育つのに何がいる?」

(私は智奈の乳首を舐める。)

「そりゃ、光と、水と、空気と、肥料ね。」

(智奈は、私の起立したものに手を添える。)

「そう。肥料は地下から掘りだした燐鉱石や石油で固定した空中窒素だけど、資

源が尽きていくこれからは?」

(私は、智奈のスカートのホックを外す。)

「あ、上流からの土砂に養分が入ってたのね。」

(智奈は、私のペニスをしごく。)

「そう。」

(私は智奈のスカートを脱がす。)

「下を見てご覧、あれがナイル川。張り付くような細い緑の帯が畑。向こうに見える

大きな湖がアスワンハイダムの湖。ナイルの下流は、このダムが出来る前は、毎

年洪水にはあってたけど、肥料のいらない素晴らしい農地だったのに今は化学肥

料をどっさりぶち込まなきゃ何も出来やしない。それに・・・」

(私は智奈のスキャンテイのヒモをほどく。)

「え、それに?」

(智奈は、私のペニスの先を舐める。)

「地中海の方を見てご覧、緑の三角があるだろう。あれが昔は上流からの養分で、

今は化学肥料で成り立ってる畑なんだけど、今、どんどん、減ってるんだ。」

(私は智奈の淡いブルーのスキャンテイを脱がす。)

「減るって?」

(智奈は、お尻を持ち上げ協力する。)

「農地が消えていくんだ。地中海の海流に削られて、海岸線がバックしてるんだよ。」

(私は、智奈の割れ目をまさぐる。)

「あ、洪水が無くなって、土砂が流れ込まなくなったからなのね。」

(智奈は、大きく足を開いて協力する。)

「そう、今までは削られる量と流れ込む量がバランスしてたんだけど、流れ込まな

くなったので、削られる一方なんだ。日本でもそうだろ、どこでも砂浜が減ってきて、

海水浴場なんか、それを防ぐための妙な堤防や突堤がならんでるだろ。世界中そ

うなんだ。」

(私は智奈のヴァギナに指を入れる。)

「それに、ほら、あの白い碁盤目。」

(私はその指をめちゃめちゃに動かす。)

「うわー一面、真っ白。何?あれ。」

(智奈はわたしのペニスを激しくしごく。)

「新しい畑の痕。このダムは砂漠を緑にして発電もしてっていう計画で、ダムの水

で灌漑して新しく畑をつくったんだけど、水引いただけじゃ、ダメだったんだ。水を引

くだろ、日が当たるだろ、蒸発するだろ、何が残る?」

(私は智奈のクリトリスを激しく擦る。)

「うーん、わかんない。」

(智奈はわたしのペニスをほおばる。)

「塩。塩分なんだ。川の水は上流を流れるうちに土の中の塩分が溶けてくる。それ

が、水だけ蒸発すると、ああして白く残ってしまうんだ。もちろん、塩の畑じゃ、作

物は出来ない。インダス文明もこうして滅んだんよ。」

 

「私たちも滅ぶの?」

 二人のやりとりを聞きながらタバコをくゆらせていた璃紗は、じっと白い碁盤目を

見つめ呟くように尋ねる。

 私は何も答えず、既にぐっしょりと濡れた智奈のヴァギナに、ずぶりといきりたっ

たペニスを突きさし、激しく、激しく、激しく、激しく突く。空中の部屋に激しい喘ぎが

響き渡る。

 「アザーン」は更に南へ、エジプトを抜け、インド洋へと進路をとる。

 

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