天空の階段 マニアの間

 

 スチュワードがうやうやしく一枚の手紙を届けに来る。

「ミコノスでのデイスコの件も、レストラン ヴィナスで、見事 ヴィナスの滴をお受け

取りになられたことも、伺っております。そして、今、お二人の妖艶なお姿拝見させ

て頂きました。どうか、この船の秘密の部屋、「マニアの間」にいらして下さい。」

                                            船長

 そして、翌日。

「どうぞ、こちらへ。」

 黒い扉をスチュワードが開き、3人は招き入れる。不思議な部屋だ。天井は黒く

塗られ、ブラックライトだろうか、星座が光っている。壁にはまたあの作者によると

思われる壁画が、やはりブラックライトで微かに輝いている。下の方には括られた

アフリカの奴隷、中程には砲撃する戦列艦と巨大な蒸気機関、上の方にはカフェ

で紅茶を飲む楽しそうなパリの市民が描かれている。

「私がこの船の船長です。どうぞよろしく。で、早速なのですが、是非璃紗さんと智

奈さんにこのマニアの間の余興にご参加頂きたいのですが。もちろん、お礼は致し

ます。」

「おもしろいじゃない。私やるわ。」

「いいね、それでこそ璃紗だよ。智奈さんもいいかな。」

「ええ、ここまできたらもうどうなっても。璃紗さんも一緒なら。」

「何をすればいいのかしら。」璃紗が尋ねる。

「それは全てお二人にお任せします。」

 智奈は璃紗をどうしようという顔で覗き込むが、璃紗は自信ありげに微笑む。

「それでは、璃紗さんと智紗さんはこちらへどうぞ。」

 二人は小さな舞台に招き入れられる。

 私は既に数人の男性が座っている席につく。

 璃紗にスポットが当たる。璃紗は眩しそうに私を見つめてにっこり笑う。

私は手で励ましの合図を送る。

 璃紗の透けてほぼ丸見えの胸と下半身に男達の視線が集まる。璃紗は、客席

に降り、男達の間を一周する。間近に見る璃紗は、まさに全裸そのものだ。

 この会が何なのかを悟った璃紗はゆっくりと薄絹を取り去る。眩しい裸体がそこ

だけ明るいスポットに照らされ露になる。白い胸も、綺麗な割れ目も男達の視線に

直に晒される。

 智奈は裾を少し摘み上げ、舞台を歩く。それだけで、前のスリットからは陰毛が、

後ろからは白いお尻が覗く。背中の結び目を解き、胸を出す。そのままゆっくりとド

レスを降ろしていく。濃い陰毛があらわれる。

 智奈も璃紗も何一つ隠そうともせず微笑む。席からはどよめきの声があがる。

「すばらしい、二人ともなんと大胆でお美しい。」

船長が感嘆の声をあげる。

 整った顔立ちの若い全裸の男が登場し、璃紗は目隠しをされ、舞台からせり上

がってきた柱に荒縄で縛り付けられる。胸の上下にも柔らかな太股にも容赦なく

縄は食い込むようにきつく巻き付けられていく。足首も固定され、客席に向けて足

は大きく広げられてしまう。サーモンピンクの美しい璃紗の秘所の、クリトリスも、

ヴァギナの入り口も、何もかもが剥き出しになる。またも客席はどよめく。

「智奈さんは、こちらにどうぞ。」

 智奈は柱の隣にせり上がってきたベッドのように幅の広いリクライニングシートに

案内される。智奈はゆったりと腰を掛けるが、そうすると、智奈のそこは客席から

露骨に覗けてしまう。 

「ああん、恥ずかしい。」

 智奈は思わず太股を硬く合わせる。その太ももを若い全裸の男がそっと開き、何

かをさし入れる。

「あ、ひどい、何するの。」

 璃紗にはリモコンが渡される。

 璃紗は縛られていない手で、リモコンのつまみを操作する。智奈の中で、それが

震える。

「ああん」智奈は体をビクンと震わせ耐える。

 璃紗は別のボタンに触れる。

 智奈の中のものは、生き物のようにうねうねとよじれ、曲がり、伸びる。

「あ、あ、あ、あ・・・・・・あああん。璃紗さん、ひどい。」

 智奈はたまらず声をあげる。ヴァギナからは熱い汁がしたたり落ちる。閉じてい

た筈の足は、今や勝手に開きはじめている。

 璃紗はさらに操作を続ける。突然、それは智奈の中で複雑にうごめきながら膨ら

み始める。

「あは、おもしろい。」と璃紗。

「ひいい、あああんん。」とあえぐ智奈。

 智奈は身を捩らせて、その異常な快感から逃れようと無駄な抵抗をする。彼女

が身を捩らせる度に、太股は開き、そのの間から白い汁を湛えたヴァギナが剥き

出しになる。

「ねえ、あの子にクリームを塗ってあげて。」璃紗が彼女を縛った男に頼む。

 全裸の男は、ペニスを大きくいきり立たせ、智奈の前にひざまずき、濡れた割れ

目を見つめながら、意外にしなやかな指で催淫クリームを塗りたくる。それを塗ら

れた部分は、さらに熱く火照ってくる。

「ああん・・・・いや、そんなとこ、触らないで・・・・お願い・・・ああん、何?これ、熱

いわ・・・・ああん、ひどい。」

「智紗さんだけ、一方的にいたぶられるのは不公平ですね。智紗さんには、これを

お渡ししましょう。」

 智紗は別のリモコンを渡される。幾つかのボタンが並んでいる。

「どうぞ、自由に押してみて下さい。」

 智奈はその一つを押す。1人の男が璃紗に歩み寄る。

「ひーーっ、・・あああん・・・」

 璃紗の背中に突如、激痛が走る。全裸の男は、その逞しい腕に鞭を持ち、激し

く璃紗の背中に振るったのだ。智奈がボタンを押すと、男が付けたイヤホンに指示

が飛ぶようだ。

 智奈は、いろいろなボタンを押していく。

 男が腕を振り上げる度に、その大きなペニスが揺れる。

「あひっつ・・・・、ひっつ・・・、あはあん・・・、」

 鞭は容赦なく璃紗の白い背中に、胸に、太股に振り下ろされる。白い肌は見る

間に無数のみみず腫れと幾筋かの微かな血の滴りに染められる。荒縄で縛られ

張り切った胸が揺れる。璃紗の皮膚の痛みは璃紗の体の中で快感に転じ、その

証拠に淫靡な割れ目からは愛液が止めどなく流れ出る。席の男達はそんな卑わ

いな璃紗の隅々まで見ようと身を乗り出す。

「ね、璃紗にもクリーム塗ってあげて。」

智紗は追い打ちをかける。

 熱いクリームを塗る手が璃紗にも伸びる。

「あああん・・アッッウ・・・・・」

 璃紗と智奈は、お互いにリモコンを握りしめ、相手の体をいたぶりあう。

 璃紗は鞭と荒縄の締め付けに痛めつけられ、智奈はヴァギナに入り込んだうご

めくもので激しく刺激される。二人は荒波に翻弄される小舟のように激痛と快感の

うねりに身を任せる。璃紗の流れ落ちる愛液は糸を引き、既に床に溜まるほど。

「これを、ああん、塗ってやって・・・智紗に・・」

 男はその愛液をすくって智奈の体に塗りたくる。璃紗の愛液で濡れた男の手が、

智奈の体を這い回る。

「ああんひどい。」智奈もまた、シートをぐっしょりと濡らしている。

 男は、璃紗の目隠しと縄を解き、潤んだ璃紗の目の前に大きく張り切ったペニ

スを突き出す。

 璃紗は四つん這いになり、そのペニスにむしゃぶりつく。硬い亀頭を喉の奥底ま

で入れ、咽せそうになりながらも舌をからみつかせる。手は太い肉棒の付け根を

握って強くしごく。幾筋もの荒縄と鞭の赤い痕あとをつけられた白い尻も露に、だ

らだらと愛液を垂らし続ける股間も客席に向けて突き出し、璃紗の口はペニスをしゃ

ぶり続ける。そして時々振り返り、凝視する男達に妖艶に微笑みかける。


「ああん、私はどうなるの・・・・ああ、もう我慢できない・・・」

 催淫クリームを塗られ動きつつけるバイブを入れて放置された智奈は、自分の

手でクリトリスを擦り始める。

 「あああん、みんな見て、お願い。私の・・・・・」

 智奈は自ら大きく足を広げ、膝を立て、更に左手で陰唇を大きく開く。充血したク

リトリスとうごめくバイブの間から白い汁をじゅるじゅると垂らすヴァギナを、そして

小刻みに動く指先を見せつける。

 璃紗の耳に、智奈の指先がたてるぐちゅぐちゅという音が届く。璃紗の視線は智

奈のほうへ惹きつけられる。璃紗の目に、智奈の熱く燃える肢体と淫靡に開かれ

たヴァギナが映る。璃紗は口から男の陰茎をはずし、智奈のところへいざり寄る。

 璃紗は、智奈の上に覆い被さり激しく唇を吸う。ねっとりした舌が、智奈の口の

中に差し入れられる。智奈はその生き物のような舌に自分の舌を絡める。智奈の

口の中で、二つの生き物がまるで濃厚なセックスをするように絡み合い、もつれ

合う。二人の口からは、どろりとヨダレが垂れ、糸を引いて落ちていく。

 璃紗は智奈の手を取り、自分の胸に導く。智奈の愛液でぐしょぐしょに濡れた指

が璃紗の乳房をまさぐり、乳首をつまむ。濡れた手のひらが乳房を掴み、こね回し、

乳首を転がす。智奈は璃紗のヴァギナに唇を寄せ、音を立てて愛液を啜り上げる。

指先は璃紗の中に入り込み、静かにでも確かに快感の壺を捉えてうごめく。

 璃紗はお互いの股間を愛撫できるよう姿勢を変える。璃紗の指は埋め込まれて

いたものを取り出し、かわりに入り込む。舌はクリトリスを愛し始める。二人は汗と

愛液でヌルヌルになった体を絡める。激しい愛撫は相手に快感をもたらし、快感は

さらなる愛撫を呼ぶ。その連鎖には終わりはなく、ねっとりとした二人の絡み合い

が延々と続く。

 私は璃紗に、 双頭の太い器具を手渡す。璃紗はそれを智奈のヴァギナに挿入

し、自分のヴァギナにも差し入れる。そして、璃紗は智奈に馬乗りになって激しく

腰を振り始める。

「あああああん、何、これ、璃紗さん?・・・あ、あ、あ・・」

 智奈は衆目の中で喘ぐ。璃紗は激しく腰を使って突く。智奈もシートのスプリング

を使って大きく腰を振って快感を貪る。智奈の手は高く伸び上がり、激しく揺れ動く

璃紗の胸を掴む。

「ああ、、あ、あ、あ、あ、あああああんーーーーーん。」

 璃紗は何度も絶頂を迎える。智奈もまた、高みを迎える。二人は歓喜に歪む顔

を男達に惜しげもなく晒しながら、激しく逝く。

 璃紗はぐったりと横たわった智奈の唇を優しく吸う。そして、ゆっくりと立ち上がる。

「ねえ、したい人、私としよう。もうみんなピンピンなんでしょう。」

 璃紗は近くのソファーに横になり、大きく足を開いて微笑みかける。先ほど、口で

の愛撫を途中で止められてしまった裸の男が、まず、璃紗にのしかかる。男は、

璃紗の唇を吸い、胸を揉む。璃紗もまた張りつめたペニスをしごき始める。間もなく

彼は璃紗のヴァギナに張りつめたペニスを差込み、ソファーが壊れんばかりに激し

く突く。再び、璃紗の遠慮のない喘ぎ声が響きわたる。客席から、一人、また一人、

喘ぐ璃紗の体に触れ始める。璃紗は両側の男のペニスをそれぞれの手で握りしめ

激しくしごく。口にも一本くわえておいしそうにしゃぶる。二つの胸は別の二人の男

の唇で舐め回されている。それから璃紗のヴァギナは、何人もの猛りをくわえ込む。

璃紗にしごかれ続け、耐えきれなくなったひとりの男が、璃紗の身体に白く熱い液

をぶちまける。もうひとり、もうひとりと次々と迸る液が彼女の胸に、腹に、顔に容

赦なく振りかかる。

 私は智奈に近寄る。

「智奈さん、ステキでしたよ。でも、ちょっと妬けたな。それにしても、燃えてたね。

わたしも欲しくなってね、いいかな。」  

 智奈はこっくりとうなずく。私は、何か言おうとする智奈の唇を唇で塞ぐ。二人の

舌は押し合い、絡まりあう。私は、智奈の右の胸を優しく揉み、乳首を転がす。乳

首はすぐさま硬く尖ってくる。

「ああん、感じる・・」

智奈は吐息もらす。

 もう一方の手は、ゆっくり智奈の体をすべる。指先から、腕、肩から、胸、脇腹か

らお腹、そして茂みを飛び越えて太股へ。白い太股を撫でる手は、ゆっくりと茂み

へと登っていき、ぐっしょりと白い汁を垂らしたヴァギナへとたどり着く。私は唇を智

奈の右の胸を舐め始める。舌は乳輪をぐるりと廻り、硬い乳首を舌先で転がす。


 入り口あたりで一人、この狂乱の中であいかわらず理性を保ちブリッジからの情

報をコンピュータでチエックし、船長に伝えていたメガネを掛けた50才近い女性が

マウスをバンと置いて立ち上がる。

「ああん、私も我慢するのは止める。もっと自由になるわ、女だって犯りたい時は

犯りたいのよ。寝たいやつとは寝たいのよ。」

 かっちりとしたスーツを脱ぎ、ブラウスのボタンを次々外し、スカートのジッパーを

引き下ろす。スカートは床に落ち、ブラウスは投げ捨てられ、ブラも取って、白い胸

を剥き出しにする。紫のパンテイも脱ぎ捨てる。彼女は全裸になって船長に抱きつ

く。熱いキス。そして船長の右手を自分の胸に、左手を股間に導く。

 メガネの奥で淫靡に輝く瞳が船長を捕らえる。

「ねえ、私、船長とセックスしたい。」

 彼女は耳元で呟き、船長の服を次々に脱がし帽子以外全て取り去り、その場で

押し倒して馬乗りになる。彼女は船長のそれを掴んで自分のそこに導きぐっさりと

突き入れる。

 

 

 ようやく全てが終わる。誰かが静かに壁のスイッチを押す。

 ブーンというモーターの音と共にシャッターが上がっていき、大きな窓が三方に

あらわれる。眩しいほど青いエーゲ海が視界の全てを覆う。愛液と精液にまみれ、

あられもなく投げ出された璃紗と智奈の肢体にも、真夏の日差しが降り注ぐ。

 船長に何か耳打ちされたメガネの女性は、全裸の肩にスーツを羽織り、再びパ

ソコンに向かう。間もなく、プリンターが静かに文字を刻み始める。

 「これはお礼です。どうぞお受け取り下さい。」

 私たちは船長からそれを受け取る。それは不思議なチケットだった。乗客氏名欄

には、私たち三人の名前が印字されているが、出発場所はこの船になっており、

行き先はどこにも書いてない。乗り物の種別欄も空白。名称欄には、「アザーン」

と書かれている。

「おお、遂に手に入れたね。」私は微笑むが、二人は怪訝な顔でチケットをのぞき

込み、首をひねるばかり。

「良くわからないけど、ありがとう。船長。」

 全裸の璃紗は、キャプテンの頬に軽くキスする。

「ところで、船長、私シャワー浴びたいんだけど。」

裸の智奈は尋ねる。

「シャワー室はこの窓の向こう。プールの隣にあります。」

「ありがとう。」

 璃紗と智奈は、窓を開け、全裸で外に駆け出す。強い潮の香りが澱んだ部屋の

空気を一新する。智奈は、シャワー室の前で立ち止まるが、そこには入らず、二人

はそのままプールに飛び込んだ。

「ねえ、気持ちいいよ。」「みんなおいでよ。」

璃紗と智紗は叫ぶ。

 若い男達は次々その場で裸になり、プールへ飛び込んでいく。大きな幾つかの

肩の中に、璃紗と智奈の白い裸身がきらめく。 私もその歓声の中に飛び込む。

 

 はしゃぎ疲れた璃紗と智奈は席に戻り、ふと後ろの壁を見る。闇の中で妖しくブ

ラックライトの光を瞬かせていた壁画は、光の中でタペストリーへと変わっていた。

下の方でうごめいていたアフリカの奴隷は、薄汚れた部屋の中で¥100ショップ

に並ぶような安物の工芸品を作るアジアの少年達に、中程の戦列艦は、巡航ミサ

イルを発射するイージス艦に、巨大な蒸気機関は原子炉に。そして上の方で優雅

にカフェで紅茶を飲むパリの市民だけは、服が現代のものに変えられただけで同

じように笑い、彼らの頭上には明るい青空が広がっているっている。二人は全裸

のままじっと壁画を見つめ続けていた。

 

 

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