天空の階段  ディスコ


 急に激しいビートが聞こえてくる。智奈は、その音に導かれるように、デイスコに

入る。日本と違いドレスコードも何もないのは助かる。半分お尻の出た短いジーン

ズのズボンにちびTでもすんなり入れた。内装も照明も質素、でも踊る人々の熱気

はすごい。乾いた喉を軽いカクテルで癒し、席に着く。

 渦の中に智奈は璃紗を見つける。彼女は長い髪をなびかせ、激しく腰を振り、裸

の下半身をちらちらさせて踊る。次第に男達がそれに気付き、璃紗は注目の的と

なる。智奈の目は踊る彼女の体に釘付けになる。体がどうしようもなく火照り、自

然に揺れてくる。智奈もまた思いきって踊り始める。

 ただでさえ、ラテンの世界では黒髪の東洋の女性はもてる。璃紗は、次々ととっ

かえひっかえ、逞しいギリシアの男と向き合って踊る。智奈の前にも精悍な顔の

男が現れ、体が触れ合うばかりになって踊り続ける。しかし、智奈の視線は目の

前の男ではなく、璃紗の方へ向いてしまう。

 璃紗だけが注目されることに耐えられなくなった金髪の女性が、ブラウスのボタ

ンを外しながら、ホールの中央に躍り出てくる。体を揺らせながらブラウスを脱ぎ捨

て、両手を高くあげたあと、その手を下ろしてブラも取る。ぶるん、と大きな胸が剥

き出しになる。彼女は惜しげもなく晒した胸を波のように揺らせながら踊り始める。

男達の目は今度はそちらへ向けられる。

 璃紗は、にっこり男達に微笑みながら、最後の一枚をじりじりと持ち上げ、熱く濡

れた下半身を男達の目の前にさらけだす。男達の目は、再び璃紗一人に集まる。

黒い茂みも白いお尻も丸出し。そして、一気に両手で持ち上げ、最後の一枚を脱ぎ

捨てる。何も隠す物無く、素っ裸の璃紗は激しく体をくねらせる。

 智奈のそこはもうびしょびしょに濡れている。迸る汗で張り付くちびTが急に気持ち

悪くなる。智奈の手は、いつの間にかチビTにかかり、それを脱ぎ捨てていた。ブラ

もうっとうしく思え、取ってしまった。踊りながら、それ程までに大胆になれる自分に

驚く。少し外を向いて揺れる胸も、尖った乳首もあらわ。男達の視線は智奈にも突

き刺さってくる。それがさらに智奈を大胆にさせた。

 智奈は裸の璃紗に引き寄せられるようにその前に踊り出る。そして、ジーンズの

半ズボンのホックを外し、腰をくねらせ脱いでしまう。目のあった璃紗はにっこりと

笑う。その微笑みは、「そんもの脱いじゃいなさい!」と智奈に言ってるように見え

た。智奈は、最後の一枚に手を掛ける。

 璃紗は、足を広げ、腰を突き出す。赤く濡れたルビーも割れ目の奥までも明るい

ライトに晒される。

 智奈もまた、男達の目の前で、パンテイをずらしていく、濃い目の陰毛が白いお

尻があらわになる。足首から抜き取り、高く投げあげる。何一つつけていないこと

のなんという開放感。感じたことのなかった昂揚。自分が自分でないよう。頭の中

は真っ白。股間からは白い汁が太股に垂れているが、今はそれさえ、見せつけた

くなってしまう。

 全裸になった二人は、その美しい肢体の全てを惜しげもなく晒しながら踊り続け

る。小柄だが若くみずみずしい智奈、背が高く成熟した妖気さえ漂う璃紗。その夜

のデイスコは東洋の大胆な二人の女性に乗っ取られたも同然だった。

 璃紗は連れの男の隣に戻り、熱くなった裸の体を一気に飲み干したカクテルで

冷ます。暫くそのまま涼んだあと、ゆっくりキャミソールを身につける。

「あースカっとした。」璃紗は明るく微笑む。


「ねえ、あなも大胆だったわねえ。私は璃紗。あなたは?」


「私は智奈。璃紗さん、素敵でした。もう、体が火照っちゃって、気付いたらあんな

ことして・・自分でも信じられない。」

「それはあなたに素質があったのよ。大胆になれる素質がね。あなたも素敵だった

わよ。こういうバカは日本じゃできないものね。気持ちいいでしょ。」

「ええ、ホントに。」


「ところで、そろそろあなたも服着たら?」


「え、うわーまだ素っ裸だったんだ。あ、服どこかしら。」

「どうぞ、」璃紗は智奈に服を渡す。

「あ、ありがとうどざいます。」

パンテイと半ズボンを穿き、ブラを付けようとした智奈に、

「ちょっと」と私と璃紗が同時に声をあげる。


「ねえ、ノーブラでいいんじゃない?」


「え、でも外向いてるし、少し小さいから押し上げたいし・・」


「何言ってるのよ。オトコはサキッポが好きなのよ、プチンとしたかわいい乳首して

るじゃない。そっちを見せつけた方が魅力的よ。とにかくこれはダメ。」

璃紗は強引に智奈のブラを奪う。


「あれ、ずいぶん汚れてるじゃない、誰かに踏まれたのかな。私が洗っておいてあ

げるわ。」

「じゃあお願いします。」しぶしぶ智奈はブラを璃紗に預け、チビTを付ける。薄い布

地がきつく胸を覆い、乳首が何も着ていないかのように突きだしている。

「似合うね、」また二人の声が重なる。

「さあ、お酒でも飲もうか。今日は本当に素晴らしいものを見せて頂いて、ありがと

う。こちらこそお礼しなければ。」

 

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